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月が地球の影に完全に隠れる皆既月食が八日夜、全国各地で観測された。天王星が月の裏に入り込む惑星食も同時に見られ、貴重な「ダブル天文ショー」を天文ファンらが楽しんだ。
国立天文台によると、皆既月食は太陽と地球、月が一直線に並ぶことで起きる。昨年五月二十六日以来約一年半ぶりで、皆既食中に惑星食が起きるのは安土桃山時代の一五八〇年以来四百四十二年ぶりという。
富士山を望む静岡県富士宮市の朝霧高原では夕方から写真愛好家らのカメラがずらりと並んだ。午後六時過ぎから欠け始めた月は一時間ほどで皆既食に。地球の大気で屈折した太陽光が月に届くため、「赤銅色(しゃく/どう/いろ)」と呼ばれる光に覆われた。富士山の天上に赤黒い淡い光が浮かぶ幻想的な光景を、カメラマンらが熱心に撮影していた。
東京都品川区から友人と訪れた会社員小林利男さんは「前回の皆既月食は雲に阻まれて見られなかったが、今回はすっきりと秋らしい天気でリベンジできた。何度見ても神秘的で美しい」と笑みがこぼれた。
日本で見られる次の皆既月食は二〇二五年九月八日、惑星食と同時に見られるのは三百二十二年後だという。(文と写真・隈崎稔樹 紙面構成・折尾裕子)
欠けながら登った月は午後7時過ぎ、完全に地球の影に入り皆既月食に。約1時間半にわたり赤黒い「赤銅色」を放った後、再び満月へと戻っていった。(午後5時35分から午後9時55分にかけて約4分おきに撮影した66枚と背景1枚を合成)
紙面より一部抜粋(2022年11月20日発行 東京新聞朝刊)