■商品概要
重ねて縁起良し 初日の出(山梨県富士河口湖町)
二〇二三年の幕が開けた元日、山梨県富士河口湖町と静岡県富士宮市にまたがる竜ケ岳(標高一四八五メートル)で富士山頂と太陽が重なるダイヤモンド富士が見られ、大勢の人たちが縁起の良い初日の出を拝んだ。富士山は、「信仰の対象と芸術の源泉」として世界文化遺産に登録されてから今年で十年を迎える。
竜ケ岳は十二月から一月初旬にかけて、ダイヤモンド富士が見られる山として登山者や写真愛好家に知られる。元日は未明の年明け早々、足元を照らしながら山頂を目指す人たちのライトで登山道に光の列ができた。
夜明け前、山頂の気温は氷点下九度ほど。日本一の霊峰が朝焼けのシルエットに浮かぶ中、山頂に続々と人が集まり、午前七時前の日の出時刻には二百人以上で埋め尽くされた。午前七時四十分過ぎ、雪煙が舞う富士山山頂の向こうから朝日が顔を出すと、「おめでとうございます」などと声が上がった。登山者らは白い息を吐きながら、拍手したり、手を合わせたりして新年の門出を祝っていた。
幼なじみと訪れた埼玉県三芳町の会社員野島智子さん(46)は「登って良し、見て良しの富士山は、どこから見てもテンションが上がる特別な存在。初めてのダイヤモンド富士に感動しました」と笑顔。「今年は良いことがありそう」と幸福な一年を願っていた。(文と写真・隈崎稔樹 紙面構成・折尾裕子)
紙面より一部抜粋(2023年1月15日発行 東京新聞朝刊)