■商品概要
春らんまんの競演 あぐりパーク嵯峨山苑(神奈川県松田町)
都心から小田急小田原線に乗り込み、神奈川県松田町の新松田駅に近づくと、エアブラシで塗ったような黄色やピンク色の山肌が目に飛び込んできた。「あぐりパーク嵯峨山苑」で満開を迎えた春の花々だ。
同苑を運営するのは内藤信明さん(87)。元々、みかん園だった標高230~285メートル、広さ約1.2ヘクタールの土地を花畑にした。例年、2月上旬から3月20日前後まで「菜花まつり」として開放、期間中は菜の花、河津桜、しだれ梅など約十種類の花が咲き誇る。
新松田駅からは徒歩で30分以上の道のり。急な坂道をいくつも登り切ると、眼下には酒匂(さかわ)川が注ぐ相模湾、西方には富士山や箱根連山という眺望が広がる。「寒い冬をじっと耐えてやっと咲く春の花のデパートみたいな場所をこの景色と共に楽しんで欲しい」と内藤さん。
愛犬の撮影に訪れていた千葉県浦安市の笠原倫子(みちこ)さん(51)は、「SNSで見かけて一度行きたいと思っていた。青空とカラフルな色が一緒になって感動しました」と満足そうな表情。入園料三百円、中学生以下と車いすの人は無料。今年の「菜花まつり」は19日までだが、来月上旬にかけて花桃や八重桜などが山を彩り、ハイキング客や近隣の観光農園に訪れた人の目を楽しませる。(文と写真・伊藤遼 紙面構成・宮本直子)
紙面より一部抜粋(2023年3月19日発行 東京新聞朝刊)