■商品概要
映える青 生える新緑
五月初旬の静かな朝、コバルトブルーの湖面から新緑の木々がひょっこりと姿を見せた。群馬県中之条町の奥四万湖で、この時期しか見られない光景だ。
四万温泉協会によると、奥四万湖は、一九九九年の四万川ダム建設に伴いできた外周約四キロの人造湖。十年ほど前から交流サイト(SNS)を中心に、深みのある青色が「四万ブルー」と呼ばれ始め、人気の観光スポットになった。なぜ青く見えるかは、諸説あるが、正確には分かっていないという。
今年は四月上旬ごろから雪解け水が少しずつ湖に流入。湖の北側にある「浮島」と呼ばれる半島が水に覆われ、水面に樹木が生えているように見える「水没林」が出現した。四万川ダム管理事務所によると、五月中旬からダムの放流が始まり水位が下がっていくため、新緑が見ごろを迎える四月下旬から一カ月弱しか見られない現象という。
同協会の宮崎博行(37)さんは「現地で四万ブルーを見て、思ったより青いと言う人が多いですね。新緑とのコントラストがいいですよ」と話していた。(写真と文・浅井慶 紙面構成・池田友次郎)
紙面より一部抜粋(2023年5月21日発行 東京新聞朝刊)