■商品概要
愛情たっぷり サンコウチョウの子育て
おなかを空(す)かせたヒナたちが大きく口を開けエサを求める。親鳥は入れ代わり立ち代わり、虫を捕まえてはせっせと運ぶ。神奈川県内の森で、サンコウチョウが子育てにいそしんでいた。
目の周りとくちばしは、鮮やかなコバルトブルー。雄は、体の三倍ほどある長い尾も特徴。空中で昆虫を捕らえ、ヒラリと舞う姿は実に美しい。鳴き声が「ツキ(月)、ヒ(日)、ホシ(星)、ホイホイホイ」と聞こえることから、三つの光「三光鳥」の名が付いた。五月ごろに東南アジアから飛来し、子育てをして秋に南方へ帰るという。
七月上旬、四羽のヒナが巣を出た。まだエサを捕れないため、枝を移動しながらしばらくは親子で過ごす。写真は、最後の一羽が巣を出た翌日に撮影した。
外敵からヒナを守るのも親鳥の役目だ。近くの木の幹にリスを見つけると「ギッ、ギッ」と濁った声を出し追い払った。
「今日も四羽いるね」。四十年通う七十代の女性は、小さな姿を見つけると安堵(あんど)した。たっぷりと愛情を受け、無事に育ってほしい。レンズ越しにヒナの無事を願った。(写真と文・布藤哲也 紙面構成・宮本直子)
紙面より一部抜粋(2023年7月23日発行 東京新聞朝刊)