■商品概要
「にじー」「レインボーブリッジだ」。高さ97メートルの断崖から豪快に落下する華厳(けごん)の滝(栃木県日光市)に陽光が差し込み、水しぶきによる虹が架かると、修学旅行で訪れた児童たちから歓声が上がった。
那智の滝(和歌山県)、袋田の滝(茨城県)と並び、日本三名瀑の一つとされる。しかし、今年は水源である中禅寺湖の水位が上がらず、弱々しい落水にとどまり、岩肌がのぞくほどだった。
ようやく迫力ある景観を取り戻したのは9月初旬。毎秒0・3トン程度だった落水量は、毎秒2トンにまで回復した。
撮影は、日照条件などで虹が出やすいという早朝を狙った。「華厳滝エレベーター」で観瀑台に降り、間近で見上げる。レンズに水滴がつくため、拭いては撮ってを繰り返した。その後、「明智平ロープウェイ」まで車を走らせ、展望台から1キロ先にある滝を望遠レンズでのぞく。ついさっきまでいた観瀑台の向こう側が虹色に染まり、荘厳な景色が広がった。
展望台からは中禅寺湖や男体山も一望でき、紅葉シーズンには秋色を帯びた木々と滝、湖の「競演」を楽しめる。湖を管理する栃木県日光土木事務所によると、現段階ではシーズン中も滝の落水量を維持できる見通しだという。(写真と文・布藤哲矢)
紙面より一部抜粋(2024年9月22日発行 東京新聞朝刊)