■商品概要
「今年こそ、年末の宝くじを当てたい」。そんな下心を抱いて向かったのは、茨城県ひたちなか市の酒列磯前(さかつらいそさき)神社。
主祭神は病気平癒や健康長寿を神徳とする少彦名命(すくなひこなのみこと)で、西暦856年の創建という。金運の神様としても知られ、この10年ほど、当せん祈願をした宝くじ売り場から総額60億円以上の当せんが出ているとか。全国から参拝客が集まる人気スポットとなっている。
訪れた2日は、大安と、縁起が良いとされる一粒万倍日が重なる巡り合わせ。気持ちは高まるばかりだ。
しかし、参道に入ると、予想もしていない光景に思わず足が止まった。300メートルほどの参道の両側で、タブノキやスダジイなどの枝ぶりが複雑な造形を見せ、不可思議な空間をつくり出している。スタジオジブリの世界にいきなり放り込まれたような感覚に陥った。
金運祈願に訪れ、この光景に驚く参拝客も多いそうだ。地元の人たちは「茨城県は観光PRが上手じゃない」「都道府県の魅力度ランキングで最下位から脱出したと喜んでいるが、こういう場所をもっとアピールしてほしい」と口にする。
権禰宜(ごんねぎ)の海後知世(かいごともよ)さん(26)は「樹叢(じゅそう)(自生した木々が密生する林地)を通りながら近くからの海風で身を清め、宝くじが当たるように祈願していただければ」と話す。(写真と文・平野皓士郎)
紙面より一部抜粋(2024年11月24日発行 東京新聞朝刊)