■商品概要
ザクザクと落ち葉を踏む音に、1年の終わりを感じる師走。多摩市鶴牧の団地と学校に囲まれた「映(ば)えスポット」を訪ねた。
小田急線唐木田駅から徒歩10分ほど。歩道橋から並木道「メタセコイア通り」を眺めると、順光を浴びたオレンジ色の木々が緑豊かな団地の中で際立って目を引く。まるで、そこだけカーペットを敷いたかのように、風景をふっくらと彩っていた。
歩道橋を下り、並木道を歩いてみる。すると、枝葉の間から西日が差し込み、約600メートルの通りが暖色のドームと化した。
鳥の羽のような形をした葉が、陽光にきらめく。遠景で見る壮大なオレンジも、近景で見る枝葉も、順光でも逆光でも楽しむことができた。
通りでは、スマートフォンのカメラを向ける人があちこちに。八王子市の関春代さん(64)は「色彩、木の大きさ、通りの長さが圧巻。まるで海外ドラマの舞台にいるよう」と木々を見上げた。
日没を見届けて帰路に就いた。空気は冷たさを増すが、木々と西日がつくり出したドームを思い起こすと、気持ちは温かいままだ。
メタセコイアの並木といえば、琵琶湖の北にある滋賀県高島市マキノ町が全国的に有名だが、来年も多摩のこの通りを訪れたいと思わずにはいられなかった。(写真と文・七森祐也)
紙面より一部抜粋(2024年12月22日発行 東京新聞朝刊)