■商品概要
きらめく冬の海をバックに、何百羽ものハマシギが密集し、旋回を繰り返す。腹部の白色と背面のベージュ色の羽を交互に見せる姿は、まるで華麗な群舞を披露しているようだ。
千葉県船橋市のふなばし三番瀬海浜公園前の干潟、三番瀬。年間約100種10万羽の水鳥を観察できる。
この時季に多く見られるのがハマシギだ。旅鳥・冬鳥として知られ、全国の河口や湿地などに渡来する。体長16~22センチ。三番瀬では10月ごろから5月上旬まで2千羽近くを観察できる。
まとまって飛ぶのは、餌場を移動するときや、敵が近づいてきたとき。潮が満ち始め、潮位が80センチほどになった頃が良いとされる。
干潟では他にも、ミヤコドリやスズガモなどが餌を探したり、くつろいだり。ただ、同公園のふなばし三番瀬環境学習館によると、観察数は20年前の半分以下に減った。生息地が徐々に失われていることが原因の一つだという。同館科学コミュニケータ の大口智輝さん(25)は「展示や野鳥観察会などを開催し、鳥や海洋に興味を持つ人を増やす。そこから考えてもらうことが大事だと思っています」と話す。
まず、知ることが鳥たちを守ることにつながる。自由に羽ばたくハマシギを見ながら心に刻んだ。(写真と文・中村千春)
紙面より一部抜粋(2025年1月26日発行 東京新聞朝刊)