■商品概要
秋葉原や大手町、日本橋など東京都心の108町会を氏神として守る。コンクリートジャングルに紛れ込むように立地する分、新型コロナウイルス禍で、しばらくはひっそりしていた。5月、日本三大祭りに数えられる神田祭が4年ぶりに催され、活気が戻った。
この間、感染収束をただ待っていたわけではない。新しい日常に対応した取り組みの一つとして今春始めたのが「オンライン博物館」。2年前にクラウドファンディングで300万円を集め、所有する浮世絵や絵巻物などの資料を360度カメラで撮影などし、デジタル化した。遠隔から閲覧でき、貴重な資料の保存・継承にもつながる。
730(天平2)年の創建以来、「ずっと先進の文化を発信し、歴史として積み重ねてきた」と岸川雅範禰宜(ねぎ)(49)は強調する。江戸期は茶道など多彩な行事も境内で催し、「文化が脈打ち、花開く場所」だったという。「新しい価値を生み続ける街にあり、最先端と伝統を併せ持つのが神田明神」と岸川さん。デジタル化もそんな心意気からだ。7年後の1300周年も視野に、新しいことに反応するアンテナは感度を増している。(井上靖史)
紙面より一部抜粋(2023年7月16日発行 東京新聞朝刊)