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夕焼けに日本一の共演
富士山と東京スカイツリー。二つの高さ日本一が、夕焼けの空に浮かぶ。十月下旬、複合施設「アイ・リンクタウン」(千葉県市川市)の展望デッキから撮影した。地上約百五十メートル。日没から刻々と秋の夕焼けの色が鮮やかになり、同時に都心のビル群の明かりが増えていく。自然と都市が織りなす夕暮れの絶景だった。富士山の左側に光っているのは、飛行機の機体だ。
多くの人が眺めを楽しめるよう、三脚での撮影は禁止されている。バッグの上にカメラを置いた。シャッタースピードは1秒前後になるので、前もってミラー(反射鏡)を上げた状態にした後、電子レリーズ(補助器具)を使って慎重に写した。
晩秋から冬は空気が澄み、昼間から眺望が素晴らしい場所だ。東京湾や筑波山も一望できる。だが、お薦めは日没後のトワイライト。さらに、大都会の夜景も美しい。夜景の愛好家団体によって、「日本の夜景百選」「日本夜景遺産」にも選ばれている。
ところで、この一枚を撮影したのは、木枯らし一号が吹いた翌々日。やはり風が強い日で、早朝から千葉県袖ケ浦市の海岸で、都心のビル群や干潟などにカメラを向けたが、満足な写真は撮れなかった。夕方、途方に暮れてアイ・リンクタウンへ。幸いに、日没後に雲の中から富士山が現れ、夕焼けが広がった。私のモットーは「一期一会一瞬」。思わずカメラを持つ手が震えた瞬間だった。 (写真と文・堀内洋助)
紙面より一部抜粋(2015年11月25日発行 東京新聞)