■商品概要
山中湖フクロウ鳴いて逆さ富士
「ゴッホォ ゴロスケ ゴッホォ」とフクロウの声が夕暮れの湖畔に響いた。
富士山麓の山中湖(山梨県山中湖村)に3月上旬、訪れた。標高982メートル。夕焼けの撮影を終えるころ風がやんだ。波が消えて、静かな湖面に逆さ富士が現れた。次第に富士山は月明かりに照らされて神々しい姿に。街灯りと航空機の光跡、星空も湖面に映った。フクロウの声を時々聞きながらの撮影は、至福の時だった。
山中湖東岸の平野地区は、浜から富士山を撮影できる人気スポット。早朝は紅富士を狙った。雪の斜面が朝日に染まる紅富士はほんのり現れた。色を染める直前、コブハクチョウが泳いで横切ったため、残念ながら、逆さ富士は波に消えた。
平野地区は富士山頂に夕日が沈む「ダイヤモンド富士」の有名な撮影地でも知られる。毎年2月中旬と10月中旬には数百人を越えるカメラの放列ができる。同地区にある「山中湖交流プラザきらら」の管理棟で開催中の山中湖フォトグランプリ写真展(現在は期間終了)には、ダイヤモンド富士や逆さ富士が飾られていた。写真愛好家の見事な作品に感心した。私のモットーである一期一会一瞬が随所に。
同写真展に地元の写真家富塚晴夫さんが山中湖村で見られる白い虹の写真と解説を展示していた。改めて白い虹の幻想的で不思議な光景に驚いた。朝、霧が晴れる寸前、平野地区や花の都公園などで月に3、4回現れるという。富士山の恵みのひとつだろう。ますます富士山と山中湖に魅了される。 (写真と文・堀内洋助)
紙面より一部抜粋(2017年3月23日発行 東京中日スポーツ)