■商品概要
緑陰に豪快一休み
神奈川県秦野(はだの)市の権現(ごんげん)山バードサンクチュアリの水場で七月下旬、豪快に水浴びをするメジロ。緑陰に水しぶきが飛び散り、涼しげな光景が印象的だ。
野鳥にとって水浴びは暑さ対策ではなく、羽毛の汚れを落とすため。飛ぶためには毎日、羽毛の手入れが欠かせない。メジロの群れは終日、次々に飛来した。清涼感あふれる動作に癒やされた。バードサンクチュアリは権現山(標高約二四三メートル)の山頂にある野鳥の憩いの場所だ。自然林の中に直径約一メートルの人工的な水場が造られ、水飲みや水浴びなどで飛来する鳥をいつでも見ることができる。鳥を脅かさないよう、丸太を積み上げて壁のようにした施設があり、その壁の窓から観察する。メジロは留鳥として、この山に一年中生息する。目の周りが白く、黄緑色をしたかわいい小鳥だ。梅の蜜を吸う時、ウグイスによく間違われる。全長は一二センチほど。今は野鳥の繁殖期も終盤で、巣立ちしたヒナが元気に飛び回っていた。他に水場に来た野鳥はキビタキ、ヤマガラ、シジュウカラ、エナガ、ヒヨドリなど。半数は巣立ちビナ。人気のキビタキは三羽が何度も飛来したが、親は現れなかった。
同じ山頂にある展望台からは三六〇度の情景が素晴らしい。西は富士と箱根の山、南は相模湾と伊豆大島、東は横浜や東京のビル群、北は丹沢山塊。周辺は弘法山公園として整備され人気のハイキングコースだ。葉が茂って野鳥の姿が見えにくい盛夏は、水場での観察もお勧め。秋は渡り途中のキビタキやオオルリ、エゾビタキなどが飛来する。冬はジョウビタキとルリビタキなど。春も渡り途中の夏鳥。四季を通して楽しめる探鳥地だ。 (写真と文・堀内洋助)
紙面より一部抜粋(2018年8月8日発行 東京新聞)