■商品概要
黄金湖畔に美富士そびえる
長野県塩尻市の高ボッチ高原で今月上旬、諏訪湖畔の街灯りと雲海の彼方に秀麗な富士山を撮影した。湖面に映る光が幻想的だ。日の出約45分前、東の空の地平線は紫と黄、赤橙色に色づき始めた。気温は1度。カメラをさわる指先が冷たい。晩秋の夜明け前の神々しい光景に胸が高鳴った。
高ボッチ高原は、岡谷市と塩尻市の境にある標高1665メートルの高ボッチ山を中心に広がる。名の由来は伝説の巨人「だいだらボッチ」が腰を下ろして一休みした言い伝えからという。山頂からは北アルプス、中央アルプス、南アルプス、八ケ岳、富士山などを見渡す360度の大パノラマ。圧巻な光景に驚いた。
この高原は富士山の撮影スポットとして知られ、全国から大勢のカメラマンが集う。特に晩秋から初冬は、雲海が発生しやすく、空気が澄むため約100キロ先の富士山がくっきり。この日のカメラマンは約70人を超えた。車のナンバーは岩手や新潟、湘南、世田谷、名古屋、奈良、岡山など全国区だ。
25年前、姉妹紙東京新聞の写真企画「富士異彩」取材班として何度も富士山に通った。幸いにも1995年度新聞協会賞を頂き、その後も益々富士山の撮影に没頭した。この企画で富士山が数多いのはその理由による。多くの方々に共感をいただいたのが嬉しかった。
高ボッチ高原から望む富士山は美しい稜線を描いて実に秀麗だ。南アルプスと八ケ岳の間に鎮座するのもいい。山頂からは日本の山の標高ベスト5(1位・富士山、2位・北岳、3位・奥穂高岳と間ノ岳、5位・槍ケ岳)がくっきり。心癒やす山々の絶景に魅了される。 (写真と文・堀内洋助)
紙面より一部抜粋(2019年11月28日発行 東京中日スポーツ)